*本リリースにおける「電動化」「エレクトリフィケーション」(英語:electrifiedなど)は、動力源として、ICE(Internal Combustion Engine:内燃機関)に加えて電気を使用したハイブリッド(HEV)、プラグイン・ハイブリッド(PHEV)、水素燃料電池(FCV)などを含む表現です。必ずしもバッテリーと電気モーターのみを動力源とした電気自動車(BEV、フルEV)だけを指すものではありません。
本リリースは2022年6⽉20⽇に発表された英語版プレスリリースの翻訳です。プレスリリースの正式⾔語は英語であり、その内容および解釈については英語版が優先されます。なお、外貨換算は、日本時間2022年6月21日現在、1ユーロ=142.31円、1ドル=135.22円にて換算しております。
2022年6月20日、オランダ・アムステルダム発――ステランティスのエンジニアリングチームは、世界各地で、クリーンで安全かつ良心的な価格のモビリティを実現する最先端の自動車開発に重点的に取り組んでいます。ステランティスN.V. (NYSE / MTA / Euronext Paris: STLA) はこの度、2か所のグローバル試験施設に、総額3,300万ユーロ(約47億円)を投資しました。これにより、クラス最高の電気自動車(EV)性能を実現し、お客様に対し安全で信頼できる最高水準の自動運転技術を提供するという長期戦略計画に取り組んでいきます。
これらの設備投資は、他の研究開発投資と同様に、モビリティの未来を設計するステランティスのグローバルな製造能力を拡大し、持続可能なモビリティ・テクノロジー企業への転換を加速させるものです。また、この投資により、ステランティスは、炭素排出量を2030年までに2021年の排出量から50%削減し、かつ、2038年までに排出量実質ゼロを実現するという長期戦略計画「Dare Forward 2030」を推進していきます。
最新の機能強化は次の通りです。
ステランティスのチーフエンジニアリングオフィサーであるハラルド・ウェスターは、次のように述べています。「全世界にわたるステランティスの世界基準の技術拠点は、将来のステランティス車を、機能・性能・安全性において自動車業界をリードするものとするために、今日も稼働しています。ステランティスのエンジニアリング・コミュニティは、才能・多様性・世界的な活動能力により支えられています。そして我々は、技術革新の核となる部分を活性化させるために、その他のグローバル機能とも、ものづくりの仲間として密接に連携しています。これにより、課題を包括的な視点でとらえ、充実したさまざまなモビリティ・ソリューションを検討し改良できるため、技術革新競争や性能強化競争の最前列に立つことができるのです」
電気自動車と自動運転の安全試験
ステランティスの長期戦略計画「Dare Forward 2030」の主要目標は、2030年までに、欧州では乗用車のBEV販売構成比率を100%、北米では乗用車及び小型トラックのBEV販売構成比率を50%とすることです。
500万ユーロ(約7億円)の投資により、オルバッサーノ安全試験センターは、マイルド・ハイブリッド車、プラグイン・ハイブリッド車、BEVなど、あらゆるタイプの電動化車両の試験に対応できるようになります。この試験センターでは現在、1日に少なくとも2回の衝突安全性能試験を実施しており、今年中に275台以上の電動化車両の試験を実施する予定です。このオルバッサーノ安全試験センターでは、175を超える国際的な安全・技術規格の適合試験が実施可能となっています。
試験走路の衝突区間には、前面衝突安全性能試験および側面衝突安全性能試験用にMessring社の可動式インパクトブロックを設置しています。また、試験場では、米国高速道路安全保険協会(Insurance Institute for Highway Safety: IIHS)が採用するスモールオーバーラップ助手席側衝突安全性能試験など、業界で最も困難といわれる安全性能試験を実施しています。
この試験走路には、衝突ポイント上に13か所の可動式車外カメラ設置場所を設けたコンピューター操作によるカメラポジショニングシステムが設置されています。また、車体下部を対象とした高速度撮影機能も装備されており、最大5台のカメラを試験車両に搭載することができます。
これらに加えて計測されるデータから、ステランティスのエンジニアは、現在と将来の車両設計評価のための貴重なデータを得ることができます。また、これらのデータは、フランスのベルシャン、米国ミシガン州チェルシー、ブラジルのベティムなどに増設された安全試験センターを含む各国のステランティス施設に共有され、車両開発用デジタルモデルの改良に役立てられます。
この最先端施設は、ステランティスの安全性デジタルエンジニアリングプロセスと完全に統合され、最も効率的な車両開発を可能とします。また、バーチャルリアリティ技術を用いて実際に起こりうる衝突シナリオを全て検証します。
新しい試験走路は、あらゆる車両タイプについて、自動運転機能の導入に際して将来実装される可能性のある試験にも対応できる状態となっています。
オルバッサーノ安全試験センターでは、歩行者衝突、ルーフ強度試験、ロールオーバー試験などの静的・動的試験用装置、座席や車内を評価するためのスレッド型試験機などを用意しています。将来的な自動運転技術の採用においては、車内の座席構成が変更される可能性があり、座席や内装の試験はより重要なものとなっています。
より適切な風を生み出すために
電動車両が1回の充電で走行できる距離を最適化していくに際し、空力効率は決定的な影響要因となります。そのため、実際の路上走行を可能な限り正確にシミュレートしなければなりません。
米国ミシガン州オーバーンヒルズにあるステランティスの風洞実験施設では、試験車両を静止させたまま路上走行をシミュレートするムービンググランド技術(ローリングロードシステム)の導入工事が進められています。ステランティスは、このプロジェクトに2,950万ドル(約40億円)を投資しました。
ムービンググランド技術では、ムービングベルトで4車輪を回転させ、車両下で5番目のベルトを回転させることで、実際の車道での走行を再現します。この技術により、動いている車輪やタイヤにのみかかる空気抵抗の測定も可能となります。この抵抗は、実際の空気抵抗の最大10%ほどを占めています。
オーバーンヒルズにある既存の風洞実験施設では、最大風速140mphの風を発生させることができます。ムービンググランドの設置は、弊社が全米自動車労働組合(United Auto Workers:UAW)と2019年に締結した約8,500万ドル(約115億円)の投資計画に含まれるもので、2024年に運用を開始する予定です。
オーバーンヒルズの空力音響試験風洞は、このムービンググランド技術の追加により、欧州の2施設同様、最先端試験センターのグローバルネットワークの一端を担うこととなります。
ステランティスについて
Stellantis N.V. (NYSE / MTA / Euronext Paris: STLA) は世界を代表する⾃動⾞メーカーでありモビリティプロバイダーです。我々の歴史あるアイコニックなブランド、すなわちAbarth、Alfa Romeo、Chrysler、Citroën、Dodge、DS Automobiles、Fiat、Jeep®、Lancia、Maserati、Opel、Peugeot、Ram、Vauxhall、Free2moveおよびLeasysは、ビジョナリーな創始者たちの情熱を受け継ぎ、現代の消費者が求める革新的な製品とサービスへの期待を具現化しています。多様性を強さに、私たちは世界の動きに先駆けて道を切り拓きます。規模を追うのではなく、最も質の高いモビリティ・テクノロジー企業となるべく取り組み、全てのステークホルダーとStellantisが事業を行うコミュニティに付加価値をもたらすことを目標にしています。詳細は、www.stellantis.comをご覧ください。